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★★★ 著者: 森絵都 出版社: 理論社 「おめでとうございます、抽選にあたりました！」と天使は、ぼくに告げました。ぼくは生きていた頃、悪事を働いたために輪廻のサイクルからはずされ、天国にいたのですが運良く抽選にあたり、自殺した小林真という少年の体をかりて現実の世界に戻ります。記憶が残っていないため、僕が前世でどんな悪いことをしてしまったのか分かりません。しかし、それを期間内に思い出さないとまた天国に逆戻りすることになるのですが・・・ 死をテーマにした小説。 ミステリ作家が書いたならば、ミステリに分類されたかも知れない小説。ぼくは前世で犯した過ちを思い出そうとするのですが、なかなか思い出せません。その謎を解くことがぼくにとって最大の課題となります。 ぼくは小林真ととして過ごすうちに、彼とその周囲には様々な問題があることに気付いていきます。自殺する前、真はいつでも冴えなくて孤独だったみたいだし、父は偽善者で、加えて母はフラメンコの先生と浮気中。非常にぎくしゃくしています。だいたいそんな感じなのです。ですが、小説のテンポは軽快だし、コメディタッチだからちょっと笑えます。 そして、読み終えた後にすがすがしさが残ります。なんというか、ほんわかと明るいのです。カラフルというタイトルの意味が最後になって分かります。涙もろい人は、多分泣くのではないか。 みごとなまでに綺麗にまとまった良いはなし。 |