|
★★ 作者: 伊坂幸太郎 出版社: 新潮社 連続放火事件が起きます。その現場にはいつも謎のグラフィティアートが残されていました。無意味な羅列には何がこめられているのか？ 父と泉水、春の兄弟が追いかけていきます。そしてその後ろには春をつけるストーカー夏子がいて・・・ 多分、家族を描いた小説。 ミステリとしても評価されているそうですが、大きな謎があるわけではありません。どんでん返しもとくにないし。ある家族、ある兄弟の物語として読めばいいのかも知れません。 伊坂幸太郎は重い出来事でさえも、ポップな文体でさらりと綴っていきます。ゴダールやガンディーの引用や、遺伝子の構造のはなしなど意味深長な文章や台詞が満ち溢れています。そしてそれらが巧みに絡められています。しかし、決して重いわけではありません。基本的に軽快です。 伊坂幸太郎を一躍有名にした作品だそうです。しかし、まだ色々なものが少し足りない感じがします。ちょっと気取っているけどはずれたタイトル、シュールな雰囲気、親子愛といったテーマは、舞城王太郎とも共通しますが、舞城王太郎の方が壊れていて面白いのではないか、と感じてしまいます。まぁ比べる方がおかしいのだけど・・・ もっと面白い作品を書けるのではないか、と期待してしまいます。 ２００４年第１回本屋大賞ノミネート作（５位）。第５７回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補作。２００４年版『このミステリーがすごい！』第３位。 |