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★★★★ 著者: 東野圭吾 出版社: 文藝春秋 石神は、数学を愛し、数学だけを生きがいとしていた天才数学者でした。ですが、才能を生かす機会を失い、さえない高校の教師として生活を送っていました。しかし、お弁当屋さんに勤める隣人の女性を愛してしまい、彼女を庇って完全犯罪を目論見ます。果たして「探偵ガリレオ」湯川は、それを解くことができるのか・・・？ ミステリ小説。『探偵ガリレオ』シリーズ。 犯人である石神という男がとにかく印象的。天才ということになっているけど天才には思えません。しかし常人とは違う感覚の持ち主なのだということはよく分かります。彼はどのようなことでもスマートにこなしてしまいます。だけど、隣人の女性にほれていて、そのことを「探偵ガリレオ」湯川に悟られてしまい・・・ その部分がいまいち納得できないけど。 物語の核となっている恋愛の描き方はちょっとあざとすぎる気がするし、お弁当屋さんの女性にもさほど魅力が感じられないのですが、ミステリとしては傑作。前例はあるにしても、このような仕掛けはなかなか見かけない気がします。 本格ミステリとしては幼稚／失格だというような議論が巻き起こったようですが、理解できないです。そもそも本格ミステリという言葉の意味が明確になっていないのに、それを論じても意味がないのではないか。 映画化されたので見たのですが、映画の方が面白かったかも知れない、と感じました。 第６回本格ミステリ大賞、第１３４回直木賞受賞作。２００６年第３回本屋大賞ノミネート作（４位）。 |