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★★★ 著者: 池澤夏樹 出版社: 河出書房新社 災厄のため地球に住むことができなくなった人類は、コンピューターによって完全に制御された人工衛星都市に移り住みます。ときが経ったとき、人類はどうなっているだろうか。文明とは何なのか。そう問うた近未来小説。 静かで淡白で、いかにも池澤夏樹らしい小説。 近未来が舞台なので、ＳＦなのかも知れないけど、ＳＦに分類して良いのか戸惑います。なんというか思弁小説というか、観念小説っぽいです。 はなしは宇宙旅行にまで発展していくのですが、アイザック・アシモフの小説みたいに大戦争が起こったりはしません。やっぱり自分とその周りの世界ばかりが描かれます。自分がいつでもしっかりと中心にいるということは変わりません。 『ＮＯ．６』のように、各所に写真がはさまっているのが面白いです。イメージが固定されてしまうから良くないという意見もあるけれど、時にはこういう小説があっても良いのではないか。でも、写真が挟まれている割にはあまり色が思い浮かびません。白っぽいぽんやりしたイメージと、漆黒の宇宙のイメージくらいしか思い浮かばないのです（どんな説明だ、という感じですが・・・）。 改めて思うのですが、池澤夏樹って、いかにも村上春樹っぽい。 |