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★★★ 作者: 内田康夫 出版社: 角川書店 ８年前、正法寺美也子は卒業論文を執筆するべく、後鳥羽法皇が隠岐に流された時の道順を追って旅行したことがあったのですが、その時土砂崩れに遭い、記憶を喪失し、友人・浅見祐子を失います。彼女はある古本屋で、どこか見覚えのある書物を発見し、それを買います。美也子は、書物が自分の遭った出来事を読み解くきっかけになると感じたのです。しかし、彼女は広島県のＪＲ三次駅構内で殺害されてしまいます。そして、なぜか買ったはずの書物は消えていました・・・ １９８５年に出版されたミステリ小説。 「名家生まれの、ちょっと軟弱そうでハンサムな名探偵」浅見光彦が初登場。その後、浅見光彦が活躍するミステリ小説はシリーズ化され、何度も映像化されていきます。 内田康夫という作家をあまり面白くなさそうだ、と思って中学のころからずっと放置していました。だけど高１の夏休みに暇だったので『後鳥羽伝説殺人事件』を手に取ってみて、後悔しました。内田康夫の書いたミステリ小説はそれなりに面白いです。 終わり近くなると、犯人が分かってきてしまうところがちょっと玉に瑕かも知れません。最後の犠牲者がでる少し前くらいから、犯人はあいつしかいない、と推測できてしまいます。 でも、過去の事件と現在の事件をうまくからめていくところは見事です。過去の事件と現在の事件が交錯し複雑に関連し合う、という技巧をこらすとどうしても無理がでてきます。納得できる物語をつむぎだすのはけっこう難しいのです。だけど、『後鳥羽伝説殺人事件』はそこがうまくできています。 |