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★★★ 著者: 村上春樹 出版社: 講談社 <僕>と友人の<鼠>と<小指のない女の子>のことを書いた不可解な小説。あらすじを説明することができません。様々な物語の断片がかき集められているような感じです。 群像新人文学賞受賞作。村上春樹の初長編小説。 スカスカなようにも思えるし、物凄くたくさんのものが詰まっているようにも思えます。読む人の心を映し出す小説なのかも知れないと感じました。様々な数字が大きな意味を持っています。それらを解読し、断片を並べ替えていくことで物語の全体像が見えるからです。まるで叙述ミステリのよう。 もしかしたらよく分からない「僕」（自分を当てはめることも可能な「空白」）が、なぜかモテていつの間にか女の子とセックスしている、というところが受けているのかなぁ。高尚っぽく見えるし、かっこつけてもいるけど、要するにポルノとして読まれているのでないか、ということなんだけど（とか書いたら、顰蹙を買いそうだけど）。 村上春樹の小説／姿勢は、あまり好きではありません。「世間から浮遊した青年がクールだ」というような、その感覚を支持してしまったら、政治を語り、共同体を構築していくことが不可能になるのではないか。もしかして、村上春樹の小説の主人公たちの感覚こそが、新たな時代に通用するものなのか。ちょっと自閉的過ぎるのではないかなぁ、と思います。 とはいえ、ある程度は共感できるし、面白いとは思います。しかも、サクッとしています。５０００ページあってもあっさり読めてしまいそう。だから読まれるのかも知れません。 まぁ傑作というわけでもないし、まじめに読まなくても良いかもしれません。やれやれと言いつつ読めば。 |