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★★★★ 著者: 倉橋由美子 出版社: 新潮社 『パルタイ』は倉橋由美子の短編集。『パルタイ』『非人』『貝のなか』『蛇』『密告』『後記』収録。 『パルタイ』 わたしは恋人から党に参加しないかと誘われます。しかし、そのためには経歴書が必要だといわれ・・・ 観念的な左翼と学生運動を諷刺した作品。デビュー作。 『非人』 ぼくは、「有能な集金人ではない」と雑役夫にいわれてしまいます。寮財政の赤字を気にしているのですが・・・ 『貝のなか』 わたしはねっとりとした寮の中で生活しています。わたしは革命党に入らないかと誘われるのですが・・・ 『蛇』 Ｋは７メートルの蛇を飲み込んでしまいます。尻尾は切り落としたのですが・・・ 『密告』 ぼくは、Ｐと友達でした。しかし、Ｑが割り込んできます。 カフカを意識していることがよくわかります。しかし、倉橋由美子は、決してカフカではないし、むしろ筋が通っています。明晰なのです。人があわさることで生まれる組織というものの温みというか、気持ち悪さが、すっきりと示されています。その辺りの辛辣な視点が素晴らしいです。 現実を描いているようで、現実とはすこしずれていて、現実の裏側を剥き出しにしてしまっているところが面白いです。 |