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★★★★ 著者: 吉村萬壱 出版社: 文藝春秋 吉村萬壱の短編集。『クチュクチュバーン』『人間離れ』収録。 『クチュクチュバーン』 進化の法則が崩れてしまったのか、宇宙が大混乱に陥ります。人間はメチャクチャになり、怪物が大量に出現して文明はほとんど崩壊。数十本の腕が生えてきてしまった蜘蛛女、ビルのように巨大な女、シマウマ男などがあらわれて殺し合います。第９２回文学界新人賞受賞作。 『人間離れ』 なんというか『クチュクチュバーン』みたいな小説。 ＳＦ的奇想が詰め込まれています。 『クチュクチュバーン』は、人間性を歯牙にもかけない、根本的に異常な世界を描き出します。エログロナンセンスです。気持ち悪い、という表現が適切ではないかと感じます。しかし、徹底的に突き抜けていくので、ある意味では痛快。世界には何の意味もないと思わせてくれます。 楳図かずおのマンガを思い出しました。しかし、楳図かずおより、劇画的ではなく、最近よくあるキテレツな漫画に近いです。とにかく、エキセントリックに、下劣を極める点が凄いです。サブカルチャーの影響が随所に感じられます。傑作ではないか、と感じました。 しかし、軽薄に過ぎるかも知れない、と思います。そして、軽い割にはまじめな部分もあり、それなのに、発狂する感じではないかも知れません。 |