「待て」
レイは叫ぶと怪人の爪につかみかかった。爪の軌道がそれて壁に突っ込んだ、キキーッという嫌な音が響き渡る。
ホワイトはそれを見ておずおずと逃げ出した。
レイが叫んだ。
「早く行って！」
レイの機敏な動きに、怪人は振り回されてとどめを刺すチャンスを失った。その黒い巨体が怒り出した。さらに巨大化していく。
爪が教室の中できらめいた。レイは必死で跳び、巨体から離れた。真っ赤に染まったホワイトが教室から脱出したのだ。
「ウォー！死ね」
激闘が始まった・・・

「助からんな」
レイの変身は解け、壁に血の跡をつけて倒れて寄り掛かっていた。
「もう五ヶ所を貫いた、な。楽しいぞ」
「ふっ、ここで、死んだりは・・・しないわ」
「負け犬の遠吠え、だな。・・・だが面白い戦いだった。１０８年ぶりの快感だ！痛みつけた甲斐があるな、小娘」
そういうと怪人は吠えた。

ウォーーーーーーーーーー

そして爪が一閃した。


「やめろ！」
怪人にとっての最高の快感は、一瞬で失意に変わった。
その鋭い爪はレイに届く前に木刀に突き刺さっていたのだ。
「レッド参上、とでも言えばいいかな」
リュウだった。
そしてさらに邪魔者が入った。
「��3、撤退命令だ」
小さな黒い蝙蝠が飛んできて告げた。
たった一ミクロンのものだ。
しかしその声に従わぬものは体内の自爆装置によって爆発四散することとなる。
怪物は歯噛みした。
しかし頷くともとの赤尾田の姿に戻り、薄気味悪く笑うと言った。
「次会ったら殺す」
赤尾田はドアからのっそりと出て行った。

「大丈夫か！」
リュウは額の汗をぬぐってレイを見た。レイは弱々しく頷いた。血まみれだった。
「やつは・・・強かった」
リュウはぶるぶると震える木刀を置こうとした。すると真っ二つに折れた。
「六人がかりでも勝てない、かもな」
リュウはレイを背負うと歩き出した。
レイは頷いた。
「一回みんなを集めて会議をしなきゃ」


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