「オーディン閣下。０．ボイスは"01-3"を派遣したようです」
機械的な声だった。発したのはアンドロイド。
オーディンは黄金の玉座に座って聞いていた。 誰もがうらやむ"本部"の指揮官の席だった。
しかし本当は不義と憎悪と策略の渦巻く地獄の中心でもある。
「何のためだ・・・！」
「・・・RIGHTの戦闘部隊04-666襲撃のため、です」
「ジモレンジャーを名乗る者たちだな。ロキ部隊が戦った・・」
「ハイ。しかし失敗したようです。"01-3"は粉砕されました」
「・・・あの"サラマンドラ"が緒戦で敗れるとは珍しいな」

オーディンの老いた顔のしわがさらに増えた。今彼にはまったく状況が読めなかった。
だが、どうやらdarknessが何者かに利用されているということだけは理解できた。
「つまり・・０.ボイスは"ジモレンジャー"を狙っているわけだ・・・」
そして０.ボイスらは、ジモリにRIGHT、darknessの両軍を呼び込んで何かを企んでいる。それは何か・・・。
それを見抜かせるため、ロキと緊急会議をしたというのに、いまだに何も出来てはいない。
「ちっ！"ジモレンジャー"なんぞと遊んでおるからだ」
もともと０.ボイスをスポンサーにしたことも、彼らの要求に応じたことも間違いだったのではないか・・？


「大丈夫？」
リュウはいきなり何が起こったか分からなかった。暗闇の中、寝っ転がっていた。
「・・エ、あぁうん。今までどうしていたんだっけ」
「あなたは今戦ったのよ。勝ったのよ、あのトカゲみたいな怪物に」
セイコの声だ。
「・・・覚えてない」
「ほ、ほらピカピカのカッコウになったじゃん」
コウが言った。しかしリュウは炎に包まれた場面までしか覚えていなかった。
「まぁ、さ、戻ろうよ」
コウが洞窟を指差して言った。レイナが頷いて歩き出した。リュウもセイコに支えられて立ち上がり、歩き出した。
「大丈夫なの？」
「・・・あぁ」
「本当に？」
リュウはコウに聞かれて頷いた。しかし自分でもどうなのかはよく分からない。
いったいどういうことなのだろう。スッと辺りを見まわした。
暗闇と、雑木ばかりが視界に入る。リュウは視線を戻して洞窟に向かった。

だが実はそれを木陰から見守る者がいた。眼光の鋭いハンサムな青年だった・・・


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