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果物スケッチ 机の上には何も残っていなかった。窓の外から吹いてくる風が机の上を洗っていく。口の中にプツプツとした感触が残る。小さなかたまりが歯の中にあった。何かを言おうとするのだけど、いまいちよく分からない。さらに、もう一つ手に取る。なんだろう。普通に黄色い気分のような気もする。もう一つ手にとる。甘くて、スーッとするような気もする。一つ手に取る。皮をむく。それを手に取り、とくに何も考えず、爪をいれた。さて、何を書こうか。果物スケッチをかかないといけない。黄色いそれを前にしてみても、何も考えつかない。困ったなぁと思う。机の上にのっているものをじっと見てみる。白い紙から目をはなした。ぼけっとした空白がたちこめている。黄色いそれを、くるっとひっくり返す。なんとなく手に取り、皮をむき、よりわけ、口に放り込んだ。酸っぱくて美味しい。すぐに食べ終わってしまった。風がここちよい。机の上には何も残っていない。 |