「全生園」は、東村山にあります。
１９０９年に、ハンセン病患者の療養所として、つくられました。
でも療養所とは名ばかりで、実際のところは強制隔離施設でした。
患者を治療するためではなくて、患者を隔離するための施設でした。
ハンセン病患者のためを思って作られたものではないのです。
今年は２００８年。
設立されてから、すでに１世紀が過ぎようとしています。
長い間、全生園は隔離・収容施設としての役割を負わされていました。
だけど、今そういった事実が忘却のかなたに消えていこうとしています。
ハンセン病のことが「過去のこと」になりつつあります。
全部忘れてしまったらさっぱりするだろうか？
もしかして、同じことをもう１度繰り返すんじゃないだろうか？
「あの見た目が怖い人たち、嫌いだから、いやだから、こっちこないで」って。
そうやって、また同じことを繰り返してしまうのでないか。
てっぺんに、全てから超越した唯一絶対の天皇が立ってて。
その下に政治家がいて、その下に軍人がいて、兵士がいて、憲兵がいて・・・
その下に平民がいて、そのまた下にハンセン病の人がいて。
支配と差別の連鎖の中でハンセン病の人たちは、１番下に置かれました。
そして、憐憫と軽蔑と恐怖の対象として扱われました。
国家がハンセン病患者をそういう立場においやったのです。
国民はそれに乗っかって、もしくは嵌められて差別を助長してしまった。
同じことがもう１度ない、とはいえません。
全生園の元患者たちはみな高齢です。
今会いに行かないと、もう会えないかも知れません。
だから、いま２００８年に全生園に行こう、と思っています。